株式会社INKサポート

高齢者住宅の開発・運営のコンサルティング

2014.06.20

~ある介護施設経営者が語る、介護の現状~ <2/4>

株式会社INKサポートでは、介護施設を経営し、自らも介護スタッフとして働いているI氏に、介護現場のレポートをお願いいたしました。介護施設の職員が直面する老人介護の実態、介護業界における構造的な問題などが、現場からの視点で直截に語られています。

レポートは、「介護の現実~ある介護施設経営者が語る、介護の現状~」と題し、4回に分けて掲載していきます。
介護現場の実情がわかるレポートとなっております。ご一読下さい。

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     「介護の現実」~ある介護施設経営者が語る、介護の現状~ <2/4>

『特別養護老人ホームは、入居にかかる金額が安価な分、施設側としては人件費等の費用を出来る限り抑えたいと思っている。

介護度が重度なほど介護報酬が高いのだから、介護度が軽くても認知症が重度で徘徊するような要介護者を受け入れるより、寝たきりの状態で介護度が重度の方を優先した方が職員の人員を軽減させられるし、高い報酬を得られるので、出来る限り介護度が高く、更に寝たきりの方を受け入れしていきたいと言うのが本心であろうし、介護度が低く徘徊するような利用者は、冷たいようだが基本的に入居の対象から外しているのが現実だ。

 特別養護老人ホームは、人件費を削減するために、日中は入所者20人を3人程度で介護するのが基本であり、時には20人を1人の職員で見る事もあったりする。そんな状況の中であれば、施設の責任としては徘徊するような高齢者を受け入れる事が出来ないのが現実である。

たとえ受け入れを検討したとしても、家族には徘徊等による事故で骨折等が起きるかもしれない事を話さねばならない事が当たり前になって来ている。

それでも、介護家族側としては現状を踏まえた上でなんとか入所をさせたい、たとえ骨折等のリスクがあろうとも預けたいと思う方が多いのではないだろうか。

次に、デイサービスや小規模多機能型居宅介護のような、通いを中心とした介護は、金銭的には完全に入居させるより安く済むのだが、介護度が重度になればなるほど通いの日数も増え、介護度が軽いうちは1万円前後で済んでいたものが、通いだけではどうする事も出来なくなり、ショートステイなどを多く利用するようになると、10万円をはるかに超えてしまったりもする。

介護家族は、出来る限り被介護者の年金の範囲内で介護サービスを利用したいと思うのが当然だが、年金受給額も年々減少傾向にある現状を鑑みるに、一般的な受給額ではとても足りず、介護家族が負担するケースは今後ますます増加すると思われる。』

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この記事は毎週金曜日に更新します。

 

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