株式会社INKサポート

高齢者住宅の開発・運営のコンサルティング

2014.06.13

~ある介護施設経営者が語る、介護の現状~<1/4>

統計局のデータ(「人口推計/年齢(5歳階級)、男女別人口(平成25年10月確定値、平成26年3月概算値)」)によると、日本の総人口 1億2729万8000人のうち、15〜64歳のいわゆる「生産年齢人口」は、7901万人で、前年に比べ116万5千人の減少となっています。

一方、65歳以上人口は3189万8千人。
人口比率の25.1%、つまり、4人に1人が65歳以上を占めるという高齢化社会の中、介護サービスの必要性は日ましに増えてきています。

ある日突然、自分の父母や祖父母が要介護状態になってしまったら・・

毎日の生活補助、食事や排せつ介助、リハビリ運動、精神面のケアなど、介護未経験者にとっては右も左もわからないことだらけです。

そんなときに頼りたいのが、介護サービス。
訪問介護やデイサービス、ショートステイなど様々な介護サービスがあり、介護のプロである介護施設スタッフたちが、利用者の方たちのケアをしています。

さて、ここで、公益財団法人介護労働安定センターの平成24年度介護労働実態調査結果を見てみましょう。これは、全国の介護保険サービスを実施する事業所を対象に行ったアンケート調査の結果です。

●介護保険サービスを実施する事業所の1年間の離職率は、17.0%。

厚生労働省による全国主要産業の離職率は14.8%(「雇用動向調査」)ですから、介護現場での離職率は比較的高いと言えます。

「労働条件等の不満」という設問では、「仕事内容のわりに賃金が低い」43.3%、「人手が足りない」42.4%、「(腰痛など)身体的負担が大きい」30.0%などの回答がみられます。
一方、「この仕事を選んだ理由」は、「働きがいのある仕事だから」が54.9%でトップ。

つまり、仕事に働き甲斐を感じていながらも、働き続けるのは簡単なことではないという実情がうかがえます。

この度、株式会社INKサポートでは、介護施設を経営し、自らも介護スタッフとして働いているI氏に、介護現場のレポートをお願いいたしました。介護施設の職員が直面する老人介護の実態、介護業界における構造的な問題などが、現場からの視点で直截に語られています。

レポートは、「介護の現実~ある介護施設経営者が語る、介護の現状~」と題し、4回に分けて掲載していきます。
介護現場の実情がわかるレポートとなっております。ご一読下さい。

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     「介護の現実」~ある介護施設経営者が語る、介護の現状~ <1/4>

『超高齢者社会に向けて突き進んでいる現在の日本では、表では、どこの介護施設も、高齢者虐待防止や身体拘束防止を大きく謳い、優しい高齢化社会を目指し、国も何とかしようと動いている。はたから見れば、日本は幸せな高齢化社会に向けて着実に進んでいると思う方も多数いるのでしょう・・・。

しかしながら、介護に携わり、実際の介護の現場を目の当たりにしている者から見る現実は、理想とは全く違う大変厳しいものである。

 そもそも、介護の必要となった要介護者を抱える家族は、自分の父親や母親、或いは義父、義母をどの様に思っているのだろうか・・・?

もちろん、自分の親だから、身内だからと、愛情を持ち、献身的に一生懸命介護をされているご家族も間違いなく大勢いるのですが、認知症の発症であったり、身体が不自由になり介護が必要となった時に、介護の程度が軽い当初は何とか自分の手で、或いは家族の協力で介護をしていこうと思っていても、そのうちに介護の程度が重くなり、介護者の負担が増えていくと、終わりの見えない不安から悲観的になり、早くこの現状から解放されたいなどと考えるようになってしまう。そんな自分に「なぜ自分は・・・」という自己嫌悪に陥る介護者は決して少なくはないだろう。

それだけ介護と言うのは経験したことがないと分からないことが多く、皆さんが思う介護の想像をはるかに超える肉体的、精神的負担があるのです。悲しいことではあるが、本当に愛情をもって介護を行っている介護家族は現実的には少ないのかもしれない。

 介護家族の肉体的、精神的負担を軽減する為に介護施設を利用するのも、今は当たり前となってきており、現在は様々な介護サービスがある。だが、やはり現実的には費用負担の問題がある。

社会福祉法人や地方自治体が開設する特別養護老人ホーム(特養)は、比較的低料金で利用でき、費用は毎月10万円前後から15万円以上必要になったりするものの、現在では介護する家族の精神的にも金銭的にも最も負担が少ないのではないかと思う。

だがしかし、入所の予約をしても平均3年程度の待ちの状態。実際、厚生労働省の調査による「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(平成26年3月25日)」をみると、特養の待機者は52万人超となっている。その上、施設側も介護度の高い(介護度3以上)の利用者を基本対象としている。

そう簡単には入所できないのが実情なのである。』

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この記事は毎週金曜日に更新します。

 

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